コロナに感染し咳もおさまり、熱が下がったにもかかわらず、後遺症で様々な症状に苦しみ、職場復帰できない方や、学校に通うことが困難な方が多数いらっしゃいます。

体調が悪い状態が長期に及ぶと精神的に落ち込み、うつ状態を引き起こす可能性がありますので、できるだけ早期にコロナ後遺症の症状を改善したいものです。

WHO（世界保健機関）によるコロナ後遺症の定義

1. コロナの発症から通常3か月間以内に後遺症の症状が出る。
2. 症状は少なくとも2か月以上続く。
3. ほかの病気の症状としては説明がつかない。

この3つ全てに当てはまる場合に「新型コロナ後遺症」とされています。

今の段階でコロナに感染した後に、どうして様々な後遺症が長く続くのかのメカニズムや機序ははっきりとは分かっていませんが、免疫学が専門の研究者は、コロナ後遺症のメカニズムについて、以下のような仮説を立てています。

1. コロナ感染症の初期症状である咳や熱といった症状がおさまったとしても、ウイルスが身体に残っている。
2. ウイルスが長期にわたって炎症を起こしていて、本来、体を守るはずの免疫が感染をきっかけに自分の体を攻撃している可能性がある
3. 感染によってダメージを受けた臓器の修復に時間がかかる可能がある
4. ヘルペスウイルスなど、以前から体内に存在していたウイルスがコロナ感染をきっかけに再活性化するなどが考えられると発表しています。

さらにワシントン大学医学部の研究によるとコロナに感染した人は肺のダメージを受けるだけではなく、腎臓のダメージを受けている人が多いと論文で発表しています。

西洋医学と東洋医学の違い

西洋医学で様々な治療を受けたにもかかわらず、コロナ後遺症で悩んでいる方は多いです。当治療院ではお客様の症状を東洋医学的に分析し、現在の体質に合った鍼灸治療を行うことにより、コロナ後遺症に対して良い治療効果をあげています。

当院に来院される方の多くが共通して抱える症状

当治療院にいらっしゃるコロナ後遺症で最も多い症状は、体がだるい、足や腰に力が入らずガクガクする。息苦しさや集中力の低下、動悸などです。そして共通する症状は手や足の冷えです。

当院の治療法

当治療院では、鍼灸治療だけではなく、奇経治療を併用することによって様々な症状に対して即効性があり、体の回復を助ける治療法を行なっています。

鍼灸治療でどの様にコロナ後遺症を治療するのか？

東洋医学では、腎の働きが低下すると足や腰に力が入らなくなり、ガクガクしたり、身体がむくみやすくなり疲れやすくなります。浮腫による疲労感は私自身経験したことがありますが、ビタミンを補給したり、元気がでるサプリメントや漢方薬を服用しても、なかなか体のだるさは改善するものではありません。 この場合腎を補うツボに鍼を打つ事により、腎の働きを助け、むくみが改善し体の疲労感を改善することができます。

体の冷えを改善するにはどのようにどのような治療をしたら良いか？

身体の冷えを東洋医学では、腎陽虚と定義しています。腎は身体を温め、エネルギーを作りだす、重要な臓腑と考えているのです。体が冷えると血液循環が悪くなって頭痛やめまい、頭がボーっとして集中力が低下し、腹痛や関節の痛みなどの症状を引き起こします。

ホットストーンを使用した治療

当治療院では、冷えを改善するために、腰にある命門や腰陽関のツボにホットストーンを置く事により、体の冷えを改善する治療も行っています。体が温まってくると血液の循環も良くなり、めまいや腹痛、関節痛、頭痛などが改善されるお客様が多いです。そして免疫力も高まり疲れにくくなります。

奇経治療について

東洋医学では経絡の滞りにより様々な症状を引き起こすと考えています。例えば肺の経絡の滞りにより息切れや咳を引き起こしますし、心臓と非常に密接な関係がある心包経の流れが滞ると動悸や胸痛を引き起こします。

うつ的な症状を改善するには？

「人中」のツボが効果的です。「人中」は意識をはっきりさせ、やる気を出してくれる、とても重要なツボになります。天柱や風池など首の後ろにあるツボに鍼を打つことによりの脳の血流を良くするツボと一緒に併用したり、印堂穴や太陽、百会等のツボと一緒に併用すると症状の改善に役立つことが多いです。

漢方薬との併用

さらに当治療院では、鍼灸治療とともに併設する漢方薬局にて漢方の相談も行っておりますので漢方薬と併用して治療効果を高めることができますし、早期に体質を改善することも可能です。

診断について

鍼灸治療では脈診や腹診を通してお客様の体質を見極めますので、お客様の体質に合わせた漢方薬を選んで差し上げることが可能です。もし漢方薬の服用も、ご希望であればお気軽にご相談ください

症例１

２年半前にコロナに罹患した後から倦怠感や動悸、めまい、腹痛等の症状に悩まされている。医師の診断ではコロナ後遺症と診断されたとの事である。漢方薬や上咽頭擦過療法(E AT）などを受け、だるさは改善し動けるようになったが、まだ疲れやすさは残っていて、日常生活にも支障をきたし、職場復帰はできていない。目の疲れや手足がこわばるなどの症状もあるとの事で来院されました。

初診

手足の冷えや側頭部から太陽穴のあたりの浮腫が顕著である。腎陽虚と診て復溜や腎兪を補い、合谷、三陰交、足三里、外関、手三里、太陽穴や側頭部の浮腫んでいる部位に1番鍼にて刺鍼して10分間置鍼した。

第２診

前回の治療後だるさが改善し、家族に「元気そう」と言われたとのこと。頻尿も改善し２時間はトイレに行かなくなった。第1診の治療に加えて関元と曲骨に鍼を打った（散鍼）。

第３診

だるさはかなり改善されたので外出しようと思う時もあるが、LEDライトやパソコンの光を見ると息苦しさや動悸がする。側頭部の浮腫や尿の切迫感は改善したがまだ少し残るとのことで第２診の治療の他に膀胱兪の刺鍼を加えた。

第６診

体の調子が良いので歩きすぎて、左の膝が痛い。頭がぼーっとし、目の奥の苦しさがあるとのことで第３診で行った治療の他に太陽穴や攅竹に鍼を打った。

第７診

体調は良いとの事。やりたいと思った事ができるようになった。今日は昨日坂道を登って足底が痛む。手指の冷えは改善したが、足先の冷えがまだ残るので、第3診と同じ治療を行った後に関元と命門にホットストーンを置く。

第８診

体力はかなりついてきて、いろいろできるようになったが、パソコンを見ると光の刺激で動悸がするとの事で第３診の治療に加え郄門に鍼を打った。足のザワザワ感は改善したので、下腿の鍼は左足三里と右三陰交のみとした。

第９診

体調が良く疲れにくいが、テレビやパソコンの光を見ると目がとても疲れる。治療は第８診と同じ治療した後、奇経治療は目の症状を改善する陽蹻脈で行った。

第10診

パソコンやスマホを見たが、光による動悸を感じなかった。前回の奇経治療が効いたようである。

第11診

体調は良く健康な時と同じくらいに動けるとの事。

第12診

体調がよく、倦怠感やめまいの症状はない。スマホやパソコンを見ても動悸の症状はなかった。

考察

初診から３ヶ月かかりましたが、体調が良くなり、健康な時と同じ位動けるようになったとのことで、私はとても嬉しく思います。また光を見て動悸がするなどの症状は、奇経治療で速やかに改善できたことも良かったと思います。長期間コロナ後遺症でお悩みになり、大変な思いをされたと思います。体力が回復しましたので、これからは、今まで通りの生活を楽しんでください。

症例２

初診

１カ月前コロナに感染して、解熱しましたが、体が非常にだるく腰や足に力が入らずガクガクするとの事で当治療院に来院されました。体が非常にだるいので学校に行くことができず休学しているとの事です。腎陽虚と診て、鍼灸治療を行いました。足が浮腫んでいるので三陰交のツボに鍼を打ち、体力がつくように合谷や 足三里にも鍼をうちました。

第２診

だるさや足がガクガクし力が入らない症状はかわらない。上半身は熱っぽく下半身は冷えているとの事で上半身の熱っぽさを改善するツボに針を打ちました。そして下半身の冷えを改善するために関元と腰陽関にホットストーンを置きました。

第３診

だるさは良くなったが、まだ学校に行けていないとの事。朝が１番だるい。午後になると改善するとの事です。

第４診

お昼過ぎからだるさが改善したので、今日は午後から学校に行くことができた。鍼灸治療とともに、だるさを改善するために足陽明脈の奇経治療を行いました。 東洋医学では足陽明脈は全身に陽気を巡らせる事ができるので、体力を回復する脈と考えられているのです。

第５診

体調が良いので、今日は１時間目から６時間目まで１日中授業を受けることができたとのこと。前回と同じ治療を行った。

考察

初診から約１ヵ月近くかかりましたが、学校に１日中通えるようになり、私は非常に嬉しく思っております。コロナ後遺症に罹患して、１ヵ月以内に鍼灸治療を始めた事と年齢が非常に若いということで回復が早かったのだと思います。さらに脈診や腹診で体質を的確に見極めることができた事や、奇経治療を併用したことで早期に症状を回復することができたと思っております。体調が回復したので、これからも学校生活を楽しんでください。

このようなコロナ後遺症でお悩みの方は、ぜひ当院へご相談ください。皆さまの健康回復のお手伝いができれば幸いです。