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顔面神経麻痺罹患後の病的共同運動とは?東京池袋エル治療院

顔面神経麻痺は、発症直後の治療・回復が比較的知られていますが、治癒後にも「後遺症」として悩まれる方が少なくありません。そのなかでも特に口を動かすとまぶたが閉じてしまう/目を閉じようとすると口元が動いてしまうといった「病的共同運動(シナキネシス)」は、見た目・機能ともに大きな影響があります。

当ブログでは、その原因・症状・医療的対応・さらに鍼灸・リハビリとしてご自身・当院でできるケアまで、東京で鍼灸治療を行う視点から詳しくご紹介します。

 病的共同運動とは?

共同運動または病的共同運動(synkinesis)とは、顔面神経麻痺の回復期に発生しうる、ある部位を動かしたときに意図しない別の部位まで連動して動いてしまう現象です。例えば:

笑おうと口角を上げたら、同時にまぶたが閉じてしまう。

目を強く閉じたら、口角が引き上がったり、頬が盛り上がる。

このような表情のゆがみや予期せぬ筋運動が起こる原因として、神経の再生時の「誤配線」が考えられています。

発症頻度は正確には把握されていませんが、顔面神経麻痺患者の中で比較的高頻度に見られる後遺症とされています。

3. なぜ起こるか?機序をやさしく解説

顔面神経麻痺発症後神経線維が損傷し、その後再生を開始します。再生途中で、本来の再生されるべき口輪筋ではなく、まぶたの眼輪筋や別の筋を刺激してしまう「神経の過誤支配」が起こります。そのため、口を動かすとまぶたが閉じる、まばたきをすると、口角が挙がるなどの不随意運動が発生します。また、発症から数か月~半年以降に発現することが多く、神経損傷の程度が大きかったり、治療が遅れた際にリスクが上がると報告されています。 さらに、急性期のリハビリで過度な過大運動・低周波刺激などを行うと逆に過誤支配を促進する恐れがあるという報告もされています。

4. 典型的な症状・サイン

以下のような症状がある場合は、「共同運動を疑うサイン」です。

食事中、口を動かすと同側まぶたが閉じる。目が細くなる。

目を閉じようとすると、口角が上がる、頬が盛り上がる。

笑顔を作ろうとしたら、口元だけでなく目・眉・頬が一緒に動いてしまい、顔の左右差・ゆがみを感じる。

表情を作ろうとすると、びくっと筋肉が動いたり不自然に引きつる感じ。
これらは、回復期の神経の“誤った再配線”が背景にあると考えられています。

そのような場合はに医師に相談することをお勧めいたします。

5. 放置するとどうなる?リスクと影響

表情の左右非対称やゆがみが現れて、人間関係や心理的な負担(自信低下・引きつれ感)につながる可能性が出てきます、ら

目・口の運動制限

まぶた閉じにくさ・ドライアイなど眼機能への影響

長期にわたるこわばり

筋肉拘縮・さらなる回復遅延のリスク

鏡を見たくない人と会いたくないなど生活の質(QOL)低下に繋がってしまいます。

西洋医学の治療

ボツリヌス毒素A注射

誤って協同運動を引き起こしている筋肉に注射して、不随意運動を抑制する治療です。効果は3〜4ヵ月程度で反復が必要です。

ミラーフィードバック療法

鏡を利用して、健側・患側の表情運動を比較しながら、正しい筋活動を学習・再教育するリハビリ。ボツリヌス注射と併用で効果を上げた報告あります。

7. 鍼灸・当院で可能なサポート(当院:東京 池袋)

病的共同運動に対する鍼灸は、あくまで補完療法であり、医療的な主治治療ではありませんが、次のようなサポートが可能です。

表情筋(頬・口角・眼輪筋・眉筋)のこわばり・張りを緩める鍼

8. セルフケアでできること

軽いストレッチや筋リラクゼーション頬や口角、眼輪筋のこわばりを感じたら、医師の指示を受けて、マッサージを毎日数分行う。

表情筋を過度にに動かしすぎないよう、注意する。麻痺回復期〜後遺症期では「百面相」など大きな表情を繰り返すと逆に過誤支配を促すという報告があります。

9. Q&A(よくある質問)

Q1. 発症からどのくらいで共同運動が出る?

一般的には顔面神経麻痺発症後3〜4か月以降に出現するケースが多いと言われています。 

Q2. 鍼灸だけで改善しますか?

鍼灸を行う際はボツリヌス注射やリハビリと一緒に行ってもいいのか、医師に相談してから鍼灸治療を行った方が良いと筆者は考えます。

Q3. いつまでケアすれば良い?

発症後1年を過ぎると改善のスピードが下がるという報告があります。  したがって、できるだけ早期に対策を始めることが望ましいです。